板山秀司

この人物を中心に、関係者と登場回を“芋づる式”に辿れます。

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この人物は、日本有数の流通企業「栄商流通グループ」の総帥として描かれています。初登場は1巻「野菜の鮮度」、年齢は60歳。グループの総力を挙げて銀座に開店した百貨店「ニュー・ギンザ・デパート」の社長も兼任していて、傘下には多くの関連企業を抱える。いわば、流通の現場を束ねる“顔”として登場するわけです。

でね、登場当初の彼は、裸一貫でここまで来たという自負が強い。だからこそ、自分のデパートの野菜の品揃えを批判した山岡に対して、東西新聞社への広告を全面的に引き揚げるという圧力をかけるんですね。ただ、その後、山岡から「野菜の本当の鮮度」を教えられたことで態度が変わっていく。以後は親しい間柄になり、山岡たちの知恵を借りたり、勝負の場を提供したりして、相互扶助の関係になっていくんです。もっとも山岡からは、いつもからかわれたり皮肉られたりするんですけどね。

出自は栃木県佐野市の貧しい家で、小学4年生の頃から大人に混じって働いていたという苦労人でもある。一方で、いまなお教養がないことにコンプレックスを抱えているとも描かれる。でも、その人物が、エジプト政府から展示品として「ツタンカーメンの黄金のマスク」像を出展してもらえるところまで上り詰めている。つまり、成功への執念と、どこか拭えない劣等感が同居しているタイプの人物として立ち上がっているんだと思うんですね。

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